付録 Fly Server のパフォーマンス ガイダンス

移行パフォーマンスは、ネットワーク インフラストラクチャ、ファイル サイズ、移行時間、スロットリングから影響を受けます。これらのことを理解すると、移行の計画を改善し、移行の効率を最大限に高めることができます。

移行スループット

Microsoft Teams 移行で、ジョブの速度はチーム サイトのサイズ、会話数、グループ メールボックスのサイズに依存しています。

    SharePoint チーム サイトの場合

平均移行速度が 1.5 GB/時間/マッピングで、一般的には各エージェントが同時に 5 件のマッピングを実行します。

    会話の場合

会話を投稿メッセージまたは HTML ファイルとして移行することができます。以下のデータは、会話を投稿メッセージとして移行する場合の速度です。

クラシック移行方法:

クラシック方法の平均移行速度が 1200 件の会話/時間/マッピングで、一般的には各エージェントが同時に 5 件のマッピングを実行します。

詳細移行方法:

詳細方法の平均移行速度が 6100 件の会話/時間/マッピングで、一般的には各エージェントが同時に 5 件のマッピングを実行します。

    グループ メールボックスの場合

メールの移行で、平均移行速度が 1 GB/時間/マッピングで、一般的には各エージェントが同時に 5 件のマッピングを実行します。

*注意: テナントのスロットリングはテナントによって異なるため、この速度は参考程度に留めておいてください。速度を向上させるには、Microsoft に連絡してスロットリングを軽減するか、以前に HTML ファイルとして送信された会話を移行することができます。

SharePoint サイト移行のスループット

一般的には、SharePoint サイトの合理的な移行速度は約 1.5 GB/時間/マッピングです。1 日の合計スループットは以下のようになります。

    1.5 GB/時間/マッピング*エージェント毎 5 件のマッピング*エージェント数*1 日の移行時間数

10 件のエージェント / 1 件のマネージャー、1 12 時間の移行を例とする場合:

1.5*5*10*12=900 GB/

会話移行のスループット (クラシック方法)

合理的なクラシック移行速度は約 1200 件の会話/時間/マッピングです。マッピングの数が多いと、スロットリングも多くなるため、実際の速度は計算された速度よりはるかに遅くなる可能性があります。スロットリングを緩和するために Microsoft に連絡する場合、1 日の合計スループットは以下の通りです。

    1200 件の会話/時間/マッピング*エージェント毎 5 件のマッピング*エージェント数*1 日の移行時間数

10 件のエージェント / 1 件のマネージャー、1 12 時間の移行を例とする場合:

1200*5*10*12=720000 件の会話/

会話の移行スループット (詳細方法)

合理的な詳細移行速度は約 6100 件の会話/時間/マッピングです。マッピングの数が多いと、スロットリングも多くなるため、実際の速度は計算された速度よりはるかに遅くなる可能性があります。スロットリングを緩和するために Microsoft に連絡する場合、1 日の合計スループットは以下の通りです。

    6100 件の会話/時間/マッピング*エージェント毎 5 件のマッピング*エージェント数*1 日の移行時間数

10 件のエージェント / 1 件のマネージャー、1 12 時間の移行を例とする場合:

6100*5*10*12=3660000 件の会話/

メールボックス移行のスループット

一般的には、メールボックスの合理的な移行速度は 1 GB/時間/マッピングです。1 日の合計スループットは以下のようになります。

    1 GB/時間/マッピング*エージェント毎 5 件のマッピング*エージェント数*1 日の移行時間数

10 件のエージェント / 1 件のマネージャー、1 12 時間の移行を例とする場合:

1*5*10*12=600 GB/

上記の計算はあくまでも一例です。移行パフォーマンスに影響する可能性のある要因が多数あることに注意してください。

上記のスループット数は完全移行を対象としています。一般的には、増分移行の場合、スループットが低くなる可能性があります。Fly Server は増分移行の移行済みアイテムの状態を確認するために時間を費やす必要があります。

上記の結果は、多くのテストに基づいた理想的な値です。移行速度はテナントによって異なる場合があります。パイロット ジョブの結果と同じ方法で日毎のスループットを見積もることをお勧めします。

Planner のサイズが非常に大きい場合、全体的な移行速度は遅くなることがあります。

Fly Server インフラストラクチャの送信・受信のネットワーク帯域幅

移行元と移行先のスロットリング問題

Fly Server エージェント マシン / SQL Server の仕様およびパフォーマンス

その他

より高いスループットが必要である場合は、2 セット目の Fly Server 移行インフラストラクチャを設定する必要がある場合があります。スループットを向上させるために、異なるプランで異なる移行元および移行先サービス アカウントを使用することもできます。

エージェント マシンが 4 コア以上であり、メモリが 8 GB 以上の場合、最高 のパフォーマンス レベルを選択することをお勧めします。

ただし、ボトルネックが移行元または移行先にある場合、Fly Server インフラストラクチャを増やしても、スループットをさらに向上させることはできません。

サーバー パフォーマンス要素

要素

説明

ベスト プラクティス

オンプレミス SharePoint サーバー

ハードウェアの仕様、エンドユーザーのワークロード、バックエンド メンテナンス タスクなどの原因で、データ ソースに制限が適用される場合があります。

SharePoint サーバーのパフォーマンスを改善します。

SharePoint サーバーと Fly Server エージェント サーバーの間のローカル ネットワーク速度を改善します。

Fly Server エージェント サーバー

多くの顧客は仮想マシンを使用してエージェントをホスティングします。

Fly Server を、高速な SSD などディスク パフォーマンスのよいマシンにインストールして実行します。

マシンには複数のディスクが存在する場合、作業フォルダーの設定を構成し、パフォーマンスの最も高いディスクを利用します。

移行の実行時は、ディスク操作の負荷が高い他のアプリケーションを停止します。

マシンのネットワーク アクセスの帯域幅を改善します。

ネットワーク アクセスの速いマシンを Fly Server エージェント サーバーとして使用します。

マシンとのネットワーク アクセスに競合が発生する可能性のある他のアプリケーションを停止します。

 

ネットワーク パフォーマンス要素

要素

説明

ベスト プラクティス

ネットワークの容量

データの移行にかかる時間は、ネットワークの利用可能性と最大容量によって決定されています。

利用可能なネットワーク容量を特定し、アップロードの最大容量を決定します。
ISP に連絡して、割り当てられた帯域幅を確認し、特定の期間内に転送できるデータの合計量などの制限に関する詳細を取得します。
ツールを使用して、実際のネットワーク容量を評価します。オンプレミスのデータ ソースから Microsoft データセンター ゲートウェイ サーバーへのデータ のエンド ツー エンド フローをテストすることを確認してください。
ネットワーク容量に影響を与えるネットワーク上の他の負荷 (例えば、バックアップ ユーティリティ およびスケジュール メンテナンス) を特定します。

ネットワークの安定性

高速ネットワークであれば、移行も必ず速いというわけではありません。ネットワークが不安定である場合、エラー修正のためにデータ転送に時間がかかります。移行タイプによって、エラー修正が移行パフォーマンスに大きく影響する場合があります。

ネットワーク ハードウェアおよびドライバー問題はネットワーク安定性問題の原因となる場合が多くあります。ハードウェア ベンダーと連携してネットワーク デバイスを把握し、ベンダーが推奨する最新のドライバーおよびソフトウェア更新を適用します。

ネットワーク遅延

ネットワーク ファイアウォールで構成された侵入検知機能は、ネットワークの大幅な遅延を引き起こし、移行のパフォーマンスに影響を与える場合が多くあります。
Microsoft 365 へのデータ移行はネットワーク接続に依存しています。ネットワーク遅延は移行の全体パフォーマンスに影響を与えます。顧客の ISP によって、移行のパフォーマンスが異なる場合があります。

すべての潜在的な Microsoft データセンターへのネットワーク遅延を評価し、一貫した結果が得られることを確保します。(エンド ユーザーの一貫した体験の保証にも役立ちます。)ISP と連携して、ネットワーク関連の問題を解決します。
Microsoft データセンター サーバーの IP アドレスを許可リストに追加するか、ネットワーク ファイアウォールから移行関連のトラフィックをすべてバイパスします。Microsoft 365Office 365 IP アドレス範囲の詳細については、Office 365 URL および IP アドレス範囲 を参照してください。

 

Microsoft 365Office 365 スロットリング

Microsoft 365Office 365 では、セキュリティおよびサービスの可用性を確保するために、さまざまなスロットリング メカニズムを使用しています。以下のスロットリング タイプは移行パフォーマンスに影響を与える可能性があります。

タイプ

説明

ベスト プラクティス

ユーザー スロットリング

ユーザー スロットリングは、Microsoft 365Office 365 の制限の最も厳しいスロットリング方法です。ユーザー スロットリングは個々のエンド ユーザーに対して機能するように設定されているため、アプリケーション レベルの使用はスロットリング ポリシーを超過し、データ移行速度低下の原因となる場合が多くあります。

サービス アカウントではなく、アプリ プロファイル認証を使用してサイト コレクションを Fly Server に登録します。

リソース ヘルス ベースのスロットリング

リソース ヘルス ベースのスロットリングは、最も攻撃性の低いスロットリング方法です。エンド ユーザーおよび重要なサービス操作に影響を与えるサービス利用可能性問題を防ぐために発生します。

スロットリングは、SharePoint の最適なユーザー エクスペリエンスおよび信頼性を保証するために実施されます。スロットリングは、主にデータベースの負荷分散に使用されるもので、すべてのコンテンツを単一のタスクで移行する場合や、ピーク時間帯に移行を実行するなど不適切な移行設定を構成した場合に発生します。

ピーク時間以外の時間帯に移行を実行してください。