付録 C Fly Server のパフォーマンス ガイダンス

移行パフォーマンスは、ネットワーク インフラストラクチャ、ファイル サイズ、移行時間、スロットリングから影響を受けます。これらのことを理解すると、移行の計画を改善し、移行の効率を最大限に高めることができます。

一般的なパフォーマンス ベンチマーク

パフォーマンス テストによると、各 Fly Server エージェントの一般的なデータ移行速度は 1 日に最大 2 TB に到達することができます。OneDrive でスロットリング問題が発生すると、各 Fly Server エージェントのパフォーマンスが 1 日に 20 GB になる可能性があります。

ただし、OneDrive はファイルおよびさまざまなアイテム / メタデータ / 設定から構成されています。データ速度は移行パフォーマンスを反映する唯一の要素ではない可能性があります。例えば、コンテンツ タイプ / その他のメタデータ / 設定およびリスト アイテムは通常小さなサイズを占めていますが、これらのデータを移行すると、オーバーヘッドが高くなり、処理時間が長くなる可能性があるため、データ速度に直接影響します。パイロット移行は、実際の移行パフォーマンスをテストするベスト プラクティスとして推奨されます。実際の移行パフォーマンスは、データの複雑さによって異なる可能性があります。

データの複雑さ

説明

パフォーマンス

シンプル

OneDrive サイトには、リスト アイテムおよび Office ファイル (~ 1.5 MB) を含むシンプルなリストのみが含まれています。

最高

中等

OneDrive サイトには、カスタム列を含むリスト アイテムおよび小さなファイル (~ 50 KB) が含まれています。

複雑

OneDrive サイトには、複雑なコンテンツ タイプと参照列が含まれています。

標準

 

サーバー パフォーマンス要素

要素

説明

ベスト プラクティス

Fly Server エージェント サーバー

ユーザーは仮想マシンを使用してエージェントをホスティングします。

Fly Server を、高速な SSD などディスク パフォーマンスのよいマシンにインストールして実行します。

マシンには複数のディスクが存在する場合、作業フォルダーの設定を構成し、パフォーマンスの最も高いディスクを利用します。

移行の実行時は、ディスク操作の負荷が高い他のアプリケーションを停止します。

マシンのネットワーク アクセスの帯域幅を改善します。

ネットワーク アクセスの速いマシンを Fly Server エージェント サーバーとして使用します。

マシンとのネットワーク アクセスに競合が発生する可能性のある他のアプリケーションを停止します。

 

ネットワーク パフォーマンス要素

要素

説明

ベスト プラクティス

ネットワークの容量

データの移行にかかる時間は、ネットワークの利用可能性と最大容量によって決定されています。

利用可能なネットワーク容量を特定し、アップロードの最大容量を決定します。

ISP に連絡して、割り当てられた帯域幅を確認し、特定の期間内に転送できるデータの合計量などの制限に関する詳細を取得します。

ツールを使用して、実際のネットワーク容量を評価します。オンプレミスのデータ ソースから Microsoft データセンター ゲートウェイ サーバーへのデータ のエンド ツー エンド フローをテストすることを確認してください。
ネットワーク容量に影響を与えるネットワーク上の他の負荷 (例えば、バックアップ ユーティリティ およびスケジュール メンテナンス) を特定します。

ネットワークの安定性

高速ネットワークであれば、移行も必ず速いというわけではありません。ネットワークが不安定である場合、エラー修正のためにデータ転送に時間がかかります。移行タイプによって、エラー修正が移行パフォーマンスに大きく影響する場合があります。

ネットワーク ハードウェアおよびドライバー問題はネットワーク安定性問題の原因となる場合が多くあります。ハードウェア ベンダーと連携してネットワーク デバイスを把握し、ベンダーが推奨する最新のドライバーおよびソフトウェア更新を適用します。

ネットワーク遅延

ネットワーク ファイアウォールで構成された侵入検知機能は、ネットワークの大幅な遅延を引き起こし、移行のパフォーマンスに影響を与える場合が多くあります。

Microsoft 365 へのデータ移行はネットワーク接続に依存しています。ネットワーク遅延は移行の全体パフォーマンスに影響を与えます。移行パフォーマンスは、ISP によって異なることがあります。

すべての潜在的な Microsoft データセンターへのネットワーク遅延を評価し、一貫した結果が得られることを確保します。(エンド ユーザーの一貫した体験の保証にも役立ちます。)ISP と連携して、ネットワーク関連の問題を解決します。

Microsoft データセンター サーバーの IP アドレスを許可リストに追加するか、ネットワーク ファイアウォールから移行関連のトラフィックをすべてバイパスします。Microsoft 365Office 365 IP アドレス範囲の詳細については、Microsoft 365Office 365 URL および IP アドレス範囲 を参照してください。

 

Microsoft 365Office 365 スロットリング

Microsoft 365Office 365 では、セキュリティおよびサービスの可用性を確保するために、さまざまなスロットリング メカニズムを使用しています。以下のスロットリング タイプは移行パフォーマンスに影響を与える可能性があります。

タイプ

説明

ベスト プラクティス

ユーザー スロットリング

ユーザー スロットリングは、Microsoft 365Office 365 の制限の最も厳しいスロットリング方法です。ユーザー スロットリングは個々のエンド ユーザーに対して機能するように設定されているため、アプリケーション レベルの使用はスロットリング ポリシーを超過し、データ移行速度低下の原因となる場合が多くあります。

サービス アカウントではなく、アプリケーション アプリ プロファイル認証を使用して OneDrive 接続を Fly Server に追加します。

リソース ヘルス ベースのスロットリング

リソース ヘルス ベースのスロットリングは、制限の最も少ないスロットリング方法です。エンド ユーザーおよび重要なサービス操作に影響を与えるサービス利用可能性問題を防ぐために発生します。

スロットリングは、OneDrive の最適なユーザー エクスペリエンスおよび信頼性を保証するために実施されます。スロットリングは、主にデータベースの負荷分散に使用されるもので、すべてのコンテンツを単一のタスクで移行する場合や、ピーク時間帯に移行を実行するなど不適切な移行設定を構成した場合に発生します。

ピーク時間以外の時間帯に移行を実行してください。